学名Annona × atemoya科名バンレイシ科原産地最初の交配は1908年,米国フロリダのUSDA亜熱帯研究所(Miami)でP. J. Wester博士によって行われた.その後1911年に,フィリピンでバンレイシにチェリモヤの花粉をつけて得られた種子をフロリダで,初結実させた.樹形・性質多くのアテモヤは,チェリモヤに似た樹勢と樹形を示すが,開花や結実の特性は両親の中間的な性質を示す.また,アテモヤは味も良いが,バンレイシの豊産性とチェリモヤの耐寒性を兼ね備える.完全な常緑ではなく半落葉性で,低温期には休眠に近い状態となるところも面白い.
花花は雌性先熟で,初日は雌期,翌日午後〜夕刻に雄期へ移行する性質がある.人工授粉が収量・形状・秀品率を大きく左右するため欠かせないが,まれに人工授粉をしていなくても結実していることがある.そういうのは大体,タネが中途半端に入り,果実肥大も不均一で見栄えが悪い.
立派な果実にするには,きちんと人工授粉をしてしっかりとタネを入れる必要がある.果実果実は心形〜卵形,果皮は緑色,果肉は非常にクリーミーで高糖度,軽い酸味を伴う.栽培上は亜熱帯に適する.沖縄では十分,本土でも冬を凌ぐためのハウスがあれば大丈夫そうでもある.
代表品種には豊産性の「ジェフナー」,バンレイシのような香りがある「アフリカンプライド」,大型果実「ピンクスマンモス」などが知られるが,沖縄では豊産性の「ジェフナー」が多く栽培されている.栽培メモアテモヤの結実に最適な花期気温はおよそ22〜28℃とされる.低温には弱いが,チェリモヤよりは高温に適応する.熱帯では高地(概ね1,000m以上),亜熱帯では低地で生育し,年平均24〜28℃程度が適し,相対湿度70%以上,防風が推奨される.
沖縄県は,問題なく生育し,問題なく結実する.人工授粉さえきちんと行えば....
木に関しては,半落葉性の小高木で,日照確保と風害対策が重要でもある.風対策が十分できれば,ある程度日に当てても大丈夫な印象がある.
影に植えるとあまり生育が良くなさそうである.去年バナナの木下に植えたアテモヤは枯れた.今年は日照りが続き,多くの果樹がへこたれていたが,アテモヤだけは元気であった.開張性で広がりやすい.低樹高・開心形など仕立てやすい.割と日焼けは少ない方である.
20cm程度枝を伸ばして,積極的に剪定しても良い.分枝を繰り返させて,骨格枝を太く作ることが大切である.
さて.ここからは,もう少し栽培者向け,これから栽培しようと思っている方へ向けた少し小難しい話も書いておきたい.
沖縄県では,バンレイシ台だと枯れることがあるため,チェリモヤ台かアテモヤ台を使っている.チェリモヤの耐寒性は−3℃ということで,ある程度耐寒性もあり,冷涼な亜熱帯地域や本土では,チェリモヤ台木が利用されることも多いと思う.低温下での成長と生産性を高める一方で,より暖かい地域では樹勢が強すぎて非生産的になることもある.
沖縄では,チェリモヤ台は言うまでもなく,アテモヤ台も,樹勢が旺盛な印象がある.放っておけば,木が暴れまくって混み合う.樹勢が強すぎると樹冠内部への日が届かなくなり,バナナと同様に結果的に着果率が低下してしまう.
そのため,結果枝を求める夏剪定以外にも,採光調整を行う剪定が定期的に不可欠であると強く感じる.とくに樹冠上部を開くように間引きせん定をすることで,光合成と花芽形成が改善すると考える.
風通しが悪いと,カイガラムシやコナジラミなどが多くつき,すす病がひどくなる.葉っぱが真っ黒くなると,葉が混み合って風通しが悪い証拠である.そうなっていると,積極的な間引き剪定をすべきだ.
また,果実のイボにカイガラムシが入りやすい.僕らは水圧でドバーっと飛ばすように落としているが,ブラシを使っている人もいるようだ.ブラシは時間がかかりすぎる.ブラシで擦る暇はない.
とにかく風通しが悪いと,何度もカイガラムシの餌食になるため,定期的な剪定を行っておこう.沖縄適性日本では沖縄・鹿児島を中心に少量栽培され,沖縄県恩納村が県内の中心産地になっている.秋以降,恩納村のファーマーズに行けばよく見かけるが,県内ではちょこちょこと栽培している人もいるため,糸満市や名護市,いろいろなところで見かける.
フーズリンクさんによれば,2013年度の県別生産量は沖縄22.6t,鹿児島3.8tのデータがある.沖縄での収穫期は概ね11月中旬〜4月末である.
米本先生の2011の報告書によれば,アテモヤの栽培は,1980年代ごろ沖縄県で始まったとされている.当時はチェリモヤやアテモヤ実生が手に入らず,古くから沖縄にあったバンレイシやイヌバンレイシに接木をしていたという.しかし,バンレイシは排水性の悪いところでは枯れ,イヌバンレイシの場合は接木親和性がなく数年後に枯れてしまうということがあったようだ.
現在は,チェリモヤかアテモヤ実生に接木すると良いことが知られているが,僕らはジェフナーを取り木で増やしている.発根性もよくジャーガルの粘土質土壌でも問題なく生育ができている.
名称 「atemoya」 は,メキシコでのバンレイシの呼称 「ate」と 「cherimoya」 の「moya」を合成したものに由来する.この雑種は,チェリモヤ由来の耐寒性と,バンレイシ由来の結実性・香味を併せ持つことが期待され,その後フロリダ,オーストラリア,イスラエルなどで選抜・栽培が広がった.現在も盛んに作られている.
母親のバンレイシと父親のチェリモヤの原産はともに熱帯のアメリカ大陸である.バンレイシ科のこのAnnona属は,約120の種を含むが,食用として主要なものは,アテモヤ,チェリモヤやバンレイシの他に,トゲバンレイシ(Annona muricata)やイラマ,別名ピンクサポテ(Annona macroprophyllata)などのような果樹もある.
なお,英語圏では「カスタードアップル(custard apple)」という名称がしばしば混同されるが,これはバンレイシ属全体を指す一般名であり,アテモヤだけに限らないとされている