水を減らすとマンゴーの品質は上がる?果実肥大期の節水かん水を検証
東インドのマンゴー園で、果実肥大期の給水量を調整した研究を紹介。水使用量、収量、糖度指標、酸度の関係を読み解きます。
マンゴーの栽培では、水が少なすぎれば果実肥大や収量が落ちます。しかし、常に十分な水を与えることが、品質と水利用効率の両方に最適とは限りません。2026年9月に公開された研究は、東インドの亜湿潤熱帯気候で、果実肥大期の調整型節水かん水(RDI)を比較しました。
4段階のかん水を比較
試験では、作物蒸発散量ETcの40%、60%、80%を与える区と、100%を与える通常かん水区が設けられました。ETcは、気象条件と作物の状態から見積もる水消費量の指標です。単に『いつもの水やりを何割にする』という意味ではありません。
注目されたのは60%区です。論文では、60%区の果実収量は80%区および100%区と統計的に同程度でした。一方、100%区に比べて水を33%節約し、水生産性は21%向上しました。さらに、果肉割合と可溶性固形分が最も高く、酸度が最も低い果実が60%区で観察されました。可溶性固形分は糖だけを直接示す数字ではありませんが、食味を考える重要な指標です。
『水を切れば甘くなる』ではない
ここで注意したいのは、強く乾燥させるほど良いという結果ではないことです。40%区を含め、過度の水分不足は樹体と果実に負担をかけます。研究が示したのは、対象地域、土壌、点滴かん水、果実肥大期という条件で、適度な不足を精密に管理した場合の結果です。
鉢植えでは土量が少なく、晴天時の乾燥が急速に進みます。露地の成木で得られた60%という数字を、そのまま鉢の水量へ当てはめるのは危険です。葉のしおれ、鉢重量、用土の排水性、気温、果実数を合わせて観察する必要があります。
沖縄で考えるなら
沖縄では降雨の偏り、台風、強い日射、土壌条件が東インドの試験地とは異なります。ただし、土壌水分を測り、成育段階ごとにかん水を変え、収量だけでなく糖度・酸度・果実重も記録する考え方は応用できます。栽培記録に給水量と雨量を残せば、自分の園に適した管理を検討しやすくなります。
節水かん水の本質は、樹を苦しめることではなく、必要な時期に必要な量を見極めることです。水資源が限られる時代には、品質と収量を守りながら一滴当たりの価値を高める技術として、さらに重要になるでしょう。
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