パパイヤのオス・メス・両性花はどう決まる?“存在できなかった性別”を作った研究
雌株、雄株、両性株があるパパイヤ。通常は胚の段階で致死となる遺伝子型を再現し、性染色体の仕組みに迫った研究です。
パパイヤを種から育てると、花が咲くまで雌株、雄株、両性株のどれになるか分かりにくいことがあります。果実生産では細長い果実を着けやすい両性株が好まれる地域もあり、性の分離は栽培上の大きな課題です。2026年1月にNature Communicationsで公開された研究は、パパイヤの性染色体と、特定の組み合わせが胚の段階で生存できない理由を調べました。
パパイヤの3つの性型
パパイヤでは、XXが雌、XYが雄、XYhが両性と説明されます。YとYhを二つ持つYY、YYh、YhYhの組み合わせは通常致死となるため、成木として観察できません。両性株を自家受粉すると、遺伝的には生じうる組み合わせの一部が胚で失われ、育つ苗は両性と雌がおおむね2対1に分離します。
研究チームは、致死に関わる遺伝子CpYYLを特定し、機能を検証しました。CpYYLの機能喪失は胚での糖代謝を変化させ、スクロース蓄積を減らし、胚の発達停止につながるとされています。遺伝子操作と交配によってYYhやYhYhの植物を作り出すことには成功しましたが、苗の生存率は高くありませんでした。
さらに、作出したYYh雄株とXX雌株の交配では、雄と両性が1対1で現れ、雌を含まない後代が得られました。これは性染色体進化の研究資源として重要であり、将来の育種へつながる可能性があります。
すぐに『雌が出ない種』が販売されるわけではない
研究成果は基礎生物学として大きな意味を持ちますが、一般栽培用の新品種が完成したわけではありません。遺伝子操作個体の生育、果実品質、安全性、各国の規制、遺伝的背景による違いなど、多くの検討が必要です。研究で可能になったことと、農家が利用できる技術の間には距離があります。
栽培者が今できること
現状では、由来の確かな苗を選ぶ、複数本を植えて開花後に選抜する、両性花を着ける系統を栄養繁殖で維持するといった方法が基本です。気温などの環境によって花の形や機能が不安定になる場合もあるため、一度の開花だけで判断しないことも大切です。
パパイヤの性は、単なるオスとメスの二択ではありません。種を播いたときに起きる分離の背後には、性染色体、胚の糖代謝、進化の歴史があります。身近な栽培上の疑問が、植物の性がどのように進化したかという大きな問いにつながる研究です。
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